心不全の治療
お薬による治療
心不全の治療はお薬の治療と、お薬以外の治療に分けられます。お薬の治療を基本として、必要に応じて、お薬以外の治療を行うことにより、心不全の進行のスピードを遅らせていきます。
治療で用いる主なお薬
1 β(ベータ)遮断薬
心不全時に起こる、交感神経による心臓に対する過度の緊張状態を緩和することで、働き過ぎている心臓を適度に休ませる効果があります。
2 レニン・アンジオテンシン系抑制薬・アルドステロン拮抗薬・ARNI
心不全時のホルモンバランス異常を改善することで、血管を広げたり、心筋の線維化を抑制することで、心臓への負荷を減らし、心臓のしなやかな動きを保つ効果があります。
3 SGLT2阻害薬
血糖を下げる作用の他、利尿作用、体重や尿酸値の低下、腎機能や貧血の改善など、様々な心不全に良い効果が認められています。
4 利尿薬
過剰な水分を体外に排泄することで、心臓の負担を和らげる効果 があります。トルバプタンを服用している場合は、水分は制限せずにのどが渇いたタイミングで水分をとってください。
5 Ca拮抗薬
血管を拡張することで血圧をコントロールして、血圧による心臓への負荷を軽減します。グレープフルーツは、食べたりジュースを飲んだりしないでください。(レモン、オレンジなどは問題ありません。)
6 抗凝固薬(ワルファリンなど)・抗血小板薬
血液をサラサラにするくすりです。血管内の血栓形成や心臓や深部静脈からの血栓性塞栓予防に有用です。
7 強心薬
心臓の縮む力を補助する効果があります。
8 Ifチャネル阻害薬(イバブラジン)
心臓の縮む力は落とさずに、心拍数だけを少なくすることで、心臓を休める効果があります。
9 可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬(ベルイシグアト)
心臓の中の一酸化窒素(NO)を増やすことによって、血管を拡張させたり、心筋の繊維化を抑える効果があります。